2012年4月26日木曜日

京都で始まった、働きたい母親を対象にしたワンストップサービスとは。

◇就業と育児支援、1カ所で 就職活動中は無料託児、資格取得や労働相談も
働く女性の約7割が出産を機に仕事を辞めており、子育て中の再就職は簡単ではない。保育所の待機児童増加で、就職活動中の預け先確保は難しく「働きたくても働けない」という声は強い。8月に京都府が開設した「マザーズジョブカフェ」は、働きたいお母さんを支援するための複数の機能を1カ所に集め、関係者の注目を集めている。

ジョブカフェはJR京都駅南、府の男女共同参画センターの中にある。女性向け求人情報を提供するハローワークの「マザーズコーナー」▽働き方や就職活動の仕方をアドバイスする「女性再就職支援コーナー」▽母子家庭の就業、生活相談を受ける「母子自立支援コーナー」--の三つが同居し、相談から就業までを一元的に支援する。

また、同じ建物に保育室もあり、就職活動中は無料で子どもを預けることができる。就職後も最大3カ月間まで、1日2100円(3歳未満、一般世帯の場合)で利用できるようになっている。地元のママたちで作るNPOのスタッフが「ママさんコンシェルジュ」として、府内の保育所の空き情報や地域の子育て支援の情報提供・相談にも応じる。

ドメスティックバイオレンス(DV)やセクハラなど女性のトラブルや悩みなどにも対応。府の担当者は「就労相談にきた人の話をよく聞くと、DVやうつなどの精神疾患で、子どもの養育が困難なケースもある。専門の相談機関と連携し解決につなげたい」と説明する。

所管が国、府などバラバラで縦割りだったサービスが1カ所で受けられるとあって、評判は上々で、1日平均30人弱の利用がある。他の自治体からの視察も多い。

4歳と1歳の子を連れた京都市右京区の主婦(37)は「ハローワークには行きたくても、小さな子どもがいては難しい。子どもを預かってくれるのは便利。求人だけでなく、仕事内容や資格取得の相談にものってくれるのでありがたい」と語る。母子自立支援コーナーで話を聞いていた求職中の女性(40)は「前の職場で賃金の未払いがあった。同じ館内で労働相談もしていると聞いたので助かる。早く次の仕事をみつけたい」と笑顔をみせた。

NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石千衣子理事は「各地の母子自立支援センターでも求人紹介はしているが、数が少なく、求人に応募するにはハローワークに足を運ばなければならないことも多い。複数の機能を1カ所に集めたのはいいことだ」と京都府の取り組みを評価する。

府の担当者は「実際の就業に結びつけていたいお母さんを支援するための複数の機能を1カ所に集め、関係者の注目を集めている。

ジョブカフェはJR京都駅南、府の男女共同参画センターの中にある。女性向け求人情報を提供するハローワークの「マザーズコーナー」▽働き方や就職活動の仕方をアドバイスする「女性再就職支援コーナー」▽母子家庭の就業、生活相談を受ける「母子自立支援コーナー」--の三つが同居し、相談から就業までを一元的に支援する。

また、同じ建物に保育室もあり、就職活動中は無料で子どもを預けることができる。就職後も最大3カ月間まで、1日2100円(3歳未満、一般世帯の場合)で利用できるようになっている。地元のママたちで作るNPOのスタッフが「ママさんコンシェルジュ」として、府内の保育所の空き情報や地域の子育て支援の情報提供・相談にも応じる。

ドメスティックバイオレンス(DV)やセクハラなど女性のトラブルや悩みなどにも対応。府の担当者は「就労相談にきた人の話をよく聞くと、DVやうつなどの精神疾患で、子どもの養育が困難なケースもある。専門の相談機関と連?には、入り口の整備だけでなく、受け皿の拡大を図る必要がある」と、求人情報を増やす必要性を強調する。京都の場合、中小企業が多いため、新規の雇用先確保は簡単ではないというが「女性の活用について企業側の理解を得ていきたい」と話す。

府は今後、保育サービスを利用できる、介護やIT関連の職業訓練なども行い、女性の求職者のスキルアップも図っていく計画だ。

2012年4月18日水曜日

厚生年金記録の改ざん問題

厚生年金の記録改ざん問題で、新たに社会保険庁の職員と元職員の2人が、舛添厚生労働相直属の調査チームの事情聴取に対し、自らの関与を認めたことが1日、明らかになった。

これで職員の関与が判明したケースは計3件。全国各地の社会保険事務所で不正が行われていた実態を裏付けた形だ。

関与を認めたのは、厚木社保事務所(神奈川県)の課長だった現職職員と、広島西社保事務所(広島県)の課長だった職員OB。事業主に対して虚偽の届け出を出すよう示唆したり、誘導したりした。社保事務所長など上司の対応に関し、2人とも「知っていても知らぬふりをしていたと思う」と証言している。

実施したのは厚労相設置の「年金記録問題拡大作業委員会」(委員長・磯村元史函館大客員教授)の調査チーム。社保庁が改ざんの疑いが濃いとみた年金記録約6万9000件のうち、当時の担当職員名が明らかなケース19件を抽出して事情を聞いた。他の職員は、「記憶がない」などと関与を認めなかった。

厚生年金記録の改ざんは、月収の記録を引き下げるなどの手口で行われる。零細企業の保険料負担を軽くして滞納額を減らし、社会保険事務所の徴収成績を高く見せかけるためだ。今回の調査とは別に、社保庁は7月、東京都内の社保事務所に勤務していた職員が改ざんへの関与を認めたため、戒告の懲戒処分としていた。

2012年4月2日月曜日

防衛産業、撤退相次ぐ

防衛費が抑制され自衛隊装備品の発注が減るなかで、防衛産業が苦境にあえいでいる。戦闘機関連では03年度以降、燃料タンクやタイヤなどの下請け20社が防衛部門から撤退中か既に撤退。

戦車など陸上戦闘車関連では13社が倒産、35社が廃業や撤退したことが防衛省のまとめでわかった。「防衛生産・技術基盤が崩壊しかねない」との危機感が生産現場で高まっている。

装備品の仕事だけで成り立っている国内の防衛産業はほとんどない。景気動向に応じて民間と防衛の両方の仕事のバランスを取るところが大半だ。防衛部門の苦境が、日本経済全体に悪影響を与える可能性も含んでいる。

政府は04年に「防衛計画の大綱」を見直し、戦闘機や戦車、護衛艦などの保有数を削減した。防衛費もここ7年連続で減少。そこに装備品のハイテク化に伴う単価の高騰が追い打ちをかけ、発注数量が落ち込んでいる。主要装備品の購入にあてる正面装備費は冷戦が終わった90年度の約1兆700億円から、09年度は6850億円と3割強減だ。

例えば戦闘機。国内での生産は戦後、途切れることなく続いてきた。しかし保有数が300機から260機に削減。老朽化したF4の後継を選ぶ次期戦闘機(FX)選定の混迷もあって、F2の最終号機が11年に完成した後、国内生産に初めて「空白」が生じるのが確実だ。空白期に生産ラインや技術者をどう維持し、乗り切るかが大きな課題だ。

民間部門が大きい大手に比べ、下請け各社は防衛事業への依存度が高く、実情はより厳しい。また04年の大綱見直しで保有数が大幅減になった戦車や火砲のほか、発注数が少ない上に主要メーカーが多い艦艇の関連企業も苦しい。

事態の深刻さを受け、防衛省も動き出した。戦闘機について6月、「生産基盤の在り方に関する懇談会」を設置。民間有識者を交え実態調査に着手した。