2012年6月20日水曜日

野田氏に経済の「疫病神」説!

民主党新代表となった野田佳彦氏は「野田氏が超円高を招いた張本人という事実は水に流せない」と党内融和を呼びかけたが、市場からは「ノーサイドにしましょう」との声が上がる。デフレ不況下での増税の恐れもあり、「財務省の言いなりが続くのなら最悪の選択」と警戒を強める。

30日午前の東京株式市場は、米国株高を好感して日経平均株価はほぼ全面高となった。しかし、野田氏の政策手腕を見極めたいとの空気もあり、9000円寸前まで上昇した後は伸び悩んだ。

前日も、野田氏の代表選当選が決まると株価が上げ幅を縮めた。「増税を打ち出す野田氏への警戒感があった」と解説するのはS M B C日興証券エクイティ部の西広市部長。「具体的な政策が出てくるまでは株式市場も材料視しにくいが、積極的に増税を打ち出すならば市場はネガティブに受け止める」。

日本企業を苦しめる超円高への取り組みを強調する野田氏だが「野田氏こそ、円高とデフレ不況の当事者だ」と楽天証券経済研究所の山崎元客員研究員は指摘する。

野田氏が財務相に就任した昨年年6月の為替は1ドル=90円程度だったが、現在は76円台まで円高が進んだ。この間、「市場の動向を注視する」と繰り返すばかりの野田氏は市場の不信を買った。山崎氏は「円高そのものを止めようという気がない」と無策ぶりにあきれる。

円高やデフレへの効果が期待される金融政策についても、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの片岡剛士主任研究員は「現段階で日本銀行が大胆な金融緩和を行ってはいないことから考えるとこれ以上の前進は望み薄。仮に9月に米国が追加緩和を決断した場合には、円が最高値を更新する可能性はより高まる」とみる。

そして野田氏といえば増税だ。財政再建の重要性を訴える野田氏だが、前出の山崎氏は「デフレ不況下で増税しても税収は減って財政再建にならない可能性がある」と反論する。

「野田氏が財務省の“使い勝手よしひこ"のままなら経済にとって最悪だ。逆に増税路線を転換するなら期待値が低いだけに政権浮揚のチャンスになる。試金石は財務大臣の人事だろう」と山崎氏。良い意味で期待を裏切ってくれないか・・・。

2012年6月4日月曜日

賠償請求権は消滅していない

1978年に東京都足立区立小の女性教諭・石川千佳子さん(当時29歳)を殺害して自宅の床下に埋め、殺人罪の時効成立後の2004年に自首した元警備員の男(73)に遺族が損害賠償を求めた訴訟の上告審判決が28日、最高裁第3小法廷(那須弘平裁判長)であった。

同小法廷は、被害者の賠償請求権が20年で消滅すると規定した民法の「除斥期間」を適用せず、男の上告を棄却した。男の殺害行為に関する賠償責任を認め、計約4255万円の支払いを命じた2審・東京高裁判決が確定した。原告代理人によると、支払額は、殺害時からの遅延損害金を含め1億円を超える。

通常、除斥期間の規定は被害者の事情に関係なく一律に適用される。最高裁がこれを適用しない例外を認めたのは98年の予防接種禍訴訟の判決に続き2度目。

判決によると、男は78年8月、小学校の校舎内で石川さんの首を絞めて殺害。自宅の床下に遺体を埋めて隠したが、04年8月に警察に自首した。遺族は05年4月に計約1億8600万円の賠償を求めて提訴。上告審では、殺害から提訴まで27年かかった事件に、除斥期間を適用するかどうかが争点となった。

〈1〉加害者が被害者の死を知られないような状況をわざわざ作りだした〈2〉そのために相続人(遺族)が犯行を知らないまま20年間が経過したという場合に、除斥期間を適用すれば、「相続人が一切権利行使ができない原因を作った加害者が賠償義務を免れることになり、著しく正義・公平の理念に反する」との判断を示した。

そのうえで、「相続人が確定した時から6か月間は被相続人の持っていた損害賠償請求権は消滅しない」とした民法の規定を準用。遺体が石川さんと確認され、遺族が相続人と確定した04年12月から約4か月後に提訴していることから、賠償請求権は消滅していないと結論づけた。

1審・東京地裁判決は除斥期間を適用して殺害行為の賠償責任を認めず、遺体の隠蔽(いんぺい)行為のみ責任を認め、330万円の支払いを命じたが、2審は殺害行為の責任まで認めた。