また働く既婚女性が増えたことにより、夫婦共働きの世帯と、夫一人が働く世帯との間に、世帯間の年金格差が生ずると、以前から指摘されていた。厚生年金は、夫婦二人分の年金として設計されており「夫は外で働き、妻は家庭を守る」という思想が制度の基本にあった。したがって妻も外で働き、厚生年金に加入すれば、妻の年金も二人分、共働き家庭は夫婦あわせて四人分の年金を受けるといわれた。しかし実際には、妻の就労は途中からの再就職やパート労働が多く、あるいは長く働いても賃金が低いため、男性と同じ水準の年金を受ける人は多くはない。
旧制度で、夫が厚生年金、妻が国民年金に任意加入している場合も、世帯の年金としては三人前とされた。こうした世帯間格差をなくすために、年金の仕組みを個人単位とする改正が行なわれた。それは年金給付費の節約にもつながるものであった。女性の年金についても、夫がサラリーマンの専業主婦は国民年金に任意加入の扱いで、独自の年金受給が保障されていないことが、国民年金発足の当初から問題とされてきた。任意加入しなければ、障害者となっても障害年金が受けられず、高齢で離婚した場合、無年金となるおそれが指摘されてきた。このような問題に、改正はどう対応したかを、次に見てゆくことにする。
厚生年金の一九八六年のモデル年金は、平均標準報酬月額二五万四〇〇〇円の場合、三二年加入で一七万三一〇〇円である。改正では同じ平均標準報酬月額の四〇年加入者の年金を、一七万六二〇〇円とほぼ同額とした。つまり一九八六年から二〇年後にでてくる四〇年加入者も、改正前の三二年加入とほぼ同じ年金水準になる。
この切り下げの方法として、老齢基礎年金の1ヵ月当たりの単価を一五年かけて二〇〇〇円からこ一五〇円に下げた。生年月日により、一歳ごとに単価が下がる仕組みで、一九四一年四月二日以後の生まれの人は、単価はすべて二一五〇円である。厚生年金の報酬比例部分の「支給乗率」も、一〇〇〇分の一〇から、一〇〇〇分の七・五へ、二〇年かけて切り下げる。これも生年月日の一年刻みで下がる仕組みである。同様に厚生年金の定額単価も、二四〇〇円から二五〇円へと下がる。
年金の改正に当たって四月一日以前に生まれた人(改正施行日に六〇歳以上)は、旧制度適用とし、その他に、さきに述べた切り下げの経過措置が適用される世代と、まったくの新制度適用の世代、つまり三つのグループが生ずることになった。経過措置に該当する人々は、厚生年金では一九二六年四月二日から一九四六年四月一日生まれまでで、この年代では前述の定額単価、支給乗率は一歳ごとに下がり、年齢の若い人ほど定額単価も支給乗率も低くなる。
2015年7月20日月曜日
成田と羽田のすみ分け
日航の再建はスタートに戻った。本当に政府が難しい再建をやりきれるのか、それとも過剰な負担を国民に押し付ける結果になるのか注目していかなければならない。そして問題を日本航空という一企業の経営問題だけでなく、より大きな日本の航空のあり方に広げて見る必要がある。羽田空港の国際化が大きな注目を集め、いろいろな議論が起こっている。安倍政権のもとで行われたアジアーゲートウェイ戦略会議では、今行われているような論議はすべて提起した。その座長であった者としては、数年遅れでこうした議論の盛り上がりが起きてきたことには、少し複雑な心境である。ただ、こうした議論が盛り上がって日本の空が少しでもよくなることは喜ばしいことだ。
成田と羽田のすみ分けにはいろいろな論点があるが、今回は国際空港の24時間利用という点について論じてみたい。成田空港は夜間から早朝にかけての発着ができない。そのため、夜10時ごろに最終便が出てから次の便が出るのは朝の8時以降になってしまう。これは国際空港としては致命的な弱点である。ちなみに、シンガポールやドバイの空港では、この夜間から早朝にかけて100機以上の航空機が飛び立つようだ。ハブの機能を発揮するためには、夜間から早朝の発着も重要な意味を持っているのだ。羽田空港の一つの強みは、夜間から早朝の発着が可能であるということだ。海外出張が多いビジネスマンなら、この時間帯の発着を利用した新たなサービスがいくつか思い浮かぶはずだ。私が思いついた二つの例をあげてみよう。
成田空港を夜10時ごろに出て、パリに朝4時過ぎに着く航空便がある。昼間日本で仕事を終わらせ、現地で朝から仕事をする必要のあるビジネスマンにとっては便利な便である。現地でフルに観光したいツアー客にとっても、朝から現地で活動できるというのは魅力的であるようだ。ただ、朝4時に着くというのはいかにも早すぎる。空港で夜明けを待つことになる。もし羽田空港を夜の12時に出る欧州線を組めれば、欧州の主要都市に朝6時ごろに着くことができる。このような欧州便なら、地方の方も夕方まで地元にいて、最終便で羽田空港に来て、余裕を持って欧州に飛ぶことができる。成田空港を利用するよりはずっと時間を短縮できることになる。
もう一つの例としてアジア大洋州便がある。朝の7時前後の成田空港は東南アジアやオーストラリアからの便の到着ラッシュである。タイやマレーシアの空港では、朝7時ごろ成田に到着するため、夜の19時近くまで空港で待機させられる。6時よりも前に成田に到着できないからだ。しかも朝の成田空港に到着する便のラッシュの中で少しでもあとのほうに回されると、空港を出るころには8時を回っている。この時間では都心に向かう通勤ラッシュに巻き込まれてしまう。
もし羽田空港に朝の5時から6時台に到着するような便を組めれば、現地を夜9時から10時という時間に出ることができる。空港で時間を潰さなくてもよい。また、朝のこの時間に到着すれば、都心へのラッシュを避けることができる。地方の方は、羽田発の始発に乗ることができるので、午前中には地元に帰ることかできる。羽田を利用した夜間早朝の発着の可能性に大いに期待したい。
成田と羽田のすみ分けにはいろいろな論点があるが、今回は国際空港の24時間利用という点について論じてみたい。成田空港は夜間から早朝にかけての発着ができない。そのため、夜10時ごろに最終便が出てから次の便が出るのは朝の8時以降になってしまう。これは国際空港としては致命的な弱点である。ちなみに、シンガポールやドバイの空港では、この夜間から早朝にかけて100機以上の航空機が飛び立つようだ。ハブの機能を発揮するためには、夜間から早朝の発着も重要な意味を持っているのだ。羽田空港の一つの強みは、夜間から早朝の発着が可能であるということだ。海外出張が多いビジネスマンなら、この時間帯の発着を利用した新たなサービスがいくつか思い浮かぶはずだ。私が思いついた二つの例をあげてみよう。
成田空港を夜10時ごろに出て、パリに朝4時過ぎに着く航空便がある。昼間日本で仕事を終わらせ、現地で朝から仕事をする必要のあるビジネスマンにとっては便利な便である。現地でフルに観光したいツアー客にとっても、朝から現地で活動できるというのは魅力的であるようだ。ただ、朝4時に着くというのはいかにも早すぎる。空港で夜明けを待つことになる。もし羽田空港を夜の12時に出る欧州線を組めれば、欧州の主要都市に朝6時ごろに着くことができる。このような欧州便なら、地方の方も夕方まで地元にいて、最終便で羽田空港に来て、余裕を持って欧州に飛ぶことができる。成田空港を利用するよりはずっと時間を短縮できることになる。
もう一つの例としてアジア大洋州便がある。朝の7時前後の成田空港は東南アジアやオーストラリアからの便の到着ラッシュである。タイやマレーシアの空港では、朝7時ごろ成田に到着するため、夜の19時近くまで空港で待機させられる。6時よりも前に成田に到着できないからだ。しかも朝の成田空港に到着する便のラッシュの中で少しでもあとのほうに回されると、空港を出るころには8時を回っている。この時間では都心に向かう通勤ラッシュに巻き込まれてしまう。
もし羽田空港に朝の5時から6時台に到着するような便を組めれば、現地を夜9時から10時という時間に出ることができる。空港で時間を潰さなくてもよい。また、朝のこの時間に到着すれば、都心へのラッシュを避けることができる。地方の方は、羽田発の始発に乗ることができるので、午前中には地元に帰ることかできる。羽田を利用した夜間早朝の発着の可能性に大いに期待したい。
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